たかまるのツレズレ日記

主に読んだ本の紹介。他に興味関心事ができれば積極的に紹介していきます。

林農園様の見学会にお邪魔してきました。

本日は、千葉県佐倉市にある林農園様の見学会にお邪魔してきました。

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林農園の作付面積は2.2ha、野菜・大豆・小麦など合計80品目、150品種に及び、平飼い(地面で育成すること)養鶏150羽を飼育されています。

 

初めは林農園様の代表、林重孝さんから、自身の食と農に関する考え方と取組みについてお話しいただきました。

 

林さんの根底にある考えは「有機栽培
農薬などを使用せず、自然のままに作物を育てることです。

 

この考えに至るまでには経緯があり、今でこそ林農園は大農家ですが、親の代ではヤマトイモ、サツマイモの2品目のみしか育てていなかったそうです。

当初はその品目の育成を親から引き継ぐ予定だったそうですが、商品として価値あるものとして売り出すために農薬を散布したり、発色剤を使用して赤くしたりすることに疑問を抱いたのだとか。

「このような農業は私が一生かけてする仕事ではない」と思い、就農して3年目に家からの農業を中断し、1年、埼玉県で先駆的に有機農業をしている農家に住み込みを開始。

1年で得たノウハウを持ち帰り、今の林農園に反映。
当初周りから反発を受けたそうですが、それでも信じて実践を重ね
5年後になってようやく目が出始めたそうです。

 

有機栽培を実現することは、生半可な努力では不可能です。
現在の日本では、有機栽培を行っている農家は全国で全体の0.4%ほどだとか。

 

はじめの取り組みは「堆肥」の改良
土づくりを変えることから取り組んだそうです。

昔は動物の糞尿などを肥料として使ってきましたが、動物性は病原菌を含んでいることが多く、どうしても病虫害発生のもとになるそうです。

これを抑える取り組みが植物性の堆肥作りです。

 

ただ、農薬を使用しないということは、やはり害虫の発生は抑えられません。

そのまま放置していても安定した出荷などはできませんが、4、5年の年月をかけることで害虫を食べる天敵が発生し、害虫と天敵のバランスがよくなり、収穫量が徐々に増え始めてきたのだとか。

また、複数の野菜を列ごとに育成することによって、その野菜につく害虫が他の野菜の天敵であったりするので、バランスが取れるようになるとも。

 

混植という技術もあり、これは栃木のかんぴょうであれば、葱と一緒に植えるとかんぴょうの発育が非常に良いとされる、他の種を植えることによる相乗効果のことです。

何故良い影響が出るのか、これは科学的にも解明されているそうです。

 

有機栽培の取り組みで、林さんが意識して行っている取り組みまとめ。

  1. 植物質を原料とした堆肥作り
  2. 野菜は適期(旬)につくる
  3. 混植による、より良い野菜の育成

 

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これは実際に「混植」している畑の様子。

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当然管理も大変です。適期に収穫・育成する必要がある野菜はしっかり管理されていました。

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種なども採れるものはすべて農園で採り、サイクルさせていく。
これがよりよい土壌を育てていく基盤となるのだとか。

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これは冷蔵の蔵で醤油を作っている様子。
1日1度かき回す必要があるそうです。

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ハウスもありますが、あくまで苗などの育成に限るもので、出荷するものは全て外で育成されています。

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ちょっとぶれちゃってますが、鶏小屋です。
現在は100羽程度。鶏の餌は米ぬか、クズ麦、魚粉、牡蠣殻、グリッド(小石)だそうです。

トウモロコシは与えていないので、卵の色は「黄色」。
市販で売られているものは「オレンジ」と呼ばれているそうです。

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これが「堆肥」です。

近くでみれば分かりますが全く臭くありません。

自分が知っている堆肥は糞臭くて近寄れたものではありませんでしたが、本当に植物だけで堆肥を作成されているのだなぁと感心しました。

上の写真は完全に発酵しているもので…

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こちらの黒いほうが、これから発酵させる堆肥。

当然時間がかかりますが、良い肥料を作るということはそういうことなのだなぁと感じますね。

 

一度外を見て回った後、最後に質疑応答をして16時半頃、解散。

質疑応答も、様々な意見が出ました。
ガーデニングを趣味としていらっしゃる方の素朴な疑問、かなり専門的な質問をされている農業関係者の方にも丁寧に応えていた林さんは人徳が滲み出ていらっしゃいました。

まだ残っていた方も半分ほどいたような…僕も明日仕事が無ければ残りたかったんですけどね(汗)

 

帰りはもう暗く、近場のバス停も案内が無いとさっぱり分からない状態だったのですが、そこに車で送ってくれると親切な方が。

てっきり見学会の参加者かと思っていたのですが、実は関係者の方でした(汗)

その方は理科の教師をしていて、息子さんが林農園に研修生として働いている姿を見に来たとのこと。

農業に興味があるなら林さんの元で働くといいんじゃないと助言していただいたり、更に深く知りたければ農愛高校ってところがあるから、そこを見学しに行くと得られるものが間違いなくある…と。

愛農高校トップ

ただ場所が三重県にあるそうなので、いつ行けるか不明ですが(汗)

 

一緒に車に乗っていた二組の夫婦も、これから農業を考えたいためにきたそうで、若いうちから農業のことを真剣に考えることは決して恥ではないし、むしろ高学歴な人達ほど就農する人が増えていると林さんは仰っていました。

 

また機会があれば訪れて、今度は更に深い話を伺いたいなと思います。

最後に…

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外の見学でみんなの前に姿を現した、人懐こいネコちゃん。
かわゆすでした。

 

それでは~。